白夜 

    
 
 


 今回は、北緯60度くらいの街をうろうろしました。
 北緯とは、地球の中心に分度器を当てて、計った数値です。
 すなわち、赤道が0度で、北極が90度です。
 東京が北緯35度なので、
 東京は北半球の3分の1。
 北欧は、3分の2ということになります。
 
 そして今は夏至なので、
 どこも白夜でした。
 太陽は沈みますが、暗くはなりません。
 
 すると、夜でも観光出来るか?
 と言うと、そんなことはありません。
 観光地は4時には閉まり、
 ショッピングモールも、8時には閉まります。
 
 夜とはいえ、昼間の明るさですから、
 人々は、公園を散歩したり、
 レストランのテラス席で大いに飲んで、
 短い夏を謳歌しています。
 
 東京に帰って、夜が真っ黒けなので、
 逆に違和感を感じました。
 まじ危険ですよ。犯罪が起きちゃいます。
 こんな暗い場所を歩いて帰るの?
 てかんじです。
 
 北欧では、夜が暗くならないわけですから、
 当然、なかなか家に帰りません。
 すなわち翌朝は、寝坊してしまいます。
 午前中の街は、し〜〜〜ん、としています。
 でも、まいっか〜〜。夏だし。てかんじです。
 人々は昼過ぎから、ぼちぼち動き出します。
 
 それが一転、冬になると、極夜になるわけです。
 明るくなったとしても、たった5時間。
 しかも、弱々しい太陽です。
 寒いし暗いし、さぞや滅入るでしょう。
 
 冬は、1日中室内に居て、
 ストーブの周りで団らんしているので、
 北欧家具や北欧食器は、
 洗練されたデザインになったそうです。
 
 南国のプールサイドのベンチで、
 真っ赤になるまで焼いている欧米人を見ますが、
 彼らは、うちらの想像以上に、太陽がありがたいのです。
 
 私は帰国してから、昼まで寝たり、眠れなかったり、
 体内時計のリズムを壊して、今だに苦労しています。
 やはり人間は、20万年前から、
 太陽が出たら起きて、
 沈んだら寝るように出来ているのです。
 
 となると北欧は、人類が住むのに
 ふさわしい場所ではないのかもしれません。
 日本人は、北緯35度で生活出来るわけですから、
 恵まれています。
 経済がどうあれ、うちらは、太陽セレブです。
 まちがいありません。
 

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